オリンピックの聖火リレーはヒトラーのナチスドイツが始まりだった!その理由とは?

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聖火はオリンピックに欠かせないシンボルの一つです。その聖火を多くの人でつないでいく聖火リレーもオリンピック前のイベントとして定着していますね。でも実は、聖火リレーの始まりがナチスドイツだったことはご存知ですか?

今回は聖火リレーの始まりとその理由についてご紹介します。

聖火リレーの始まりはナチスドイツのベルリン大会から!

「聖火リレーは古代ギリシャ時代から続く伝統行事」と思っている人も多いと思いますが、それは誤解です。

聖火リレーは1936年ベルリン大会から始まりました。

当時のドイツはヒトラー率いるナチスドイツが政権を握っており、聖火リレーはナチスドイツが考案して始めたものです。

確かにオリンピックの聖火は、古代ギリシャ時代でもオリンピック開催中にゼウスとヘーラーの神殿で灯されていました。

古代ギリシャ人は、プロメテウスが“天界の火”をゼウスに内緒で人類に与え、それによって発展したと信じていました。火を神聖視していたので神殿でも灯していましたが、それは電気やガスのない時代には照明としても必要なものでした。

ですから現在のようなオリンピックのシンボルとしてではなく、聖火リレーもありませんでした。

そして近代オリンピックが始まったのは1896年のアテネ大会からですが、この時にはまだ聖火は取り入れられていませんでした。

聖火がオリンピックに再登場するのは、1928年のアムステルダム大会からです。これはオリンピックスタジアムに塔を設置し、そこで火が燃え続けるというアイディアから導入されたものでした。

デザイン的なものからだったので聖火の火はその場で採火されましたが、この時は聖火リレーはありませんでした。

現在のようにオリンピアのヘーラー神殿跡で厳かに採火して、開催国まで聖火リレーによって運ばれるようになったのは、実は1936年のベルリン大会からなんです。

ヒトラーが聖火リレーを始めた理由

ヒトラー率いるナチスドイツが聖火リレーを始めた理由には、非常に政治的な意味合いがあります。

もともとヒトラーはオリンピックについて、「ユダヤとフリーメイソンの発明した祭典」と考えて、最初はベルリン大会開催について難色を示していました。

しかし、1936年のベルリン大会は1931年に決定したものでナチスが政権を握った1933年には既に準備がある程度進んでいました。さらに、当時のドイツ人にとって第一次世界大戦(1914年~1918年)によって中止となった1916年以来の待ち望んでいたオリンピックでもあったでしょう。

こういった背景もあり、周囲は開催を実施するようにヒトラーを説得したそうです。その説得材料の中にオリンピックを国外に向けてはナチスを宣伝、国内に向けてはまだ盤石とは言えなかった世論をまとめるために利用できると言われ、ヒトラーの考えは一変します。

こうして1936年のベルリン大会はナチスドイツ肝いりの祭典となりました。

これまでにない大会にするために様々な仕掛けが考案され、その中に「聖火リレー」というアイデアが出されたのです。

ヒトラーは反ユダヤとして有名ですが、「アーリア人、中でもゲルマン民族がもっとも優秀である」という思想を持っていました。

本来、アーリア人とは言語学的な考えからは、インド・ヨーロッパ語族の中の一部です。しかし当時は、ヨーロッパ・ペルシャ・インドの人種的、民族的に共通した祖先であるという主張がありました。

ドイツはゲルマン民族が大半を占める国家です。

「アーリア人種の中でも最も多民族と混血していないのがゲルマン民族であり、古代ギリシャの直系である」と信じていたヒトラーは聖火リレーによって、その正当性を誇示しようと考えました。

そのため、聖火はベルリンから離れた古代ギリシャの神殿跡で巫女姿の女性によって採火され、そこから陸路でベルリンまでリレーされることになりました。
距離は約3,000km、約3,000人のランナーによって行われた聖火リレーは、ラジオでその様子が報道されました。人々は聖火リレーに熱狂し、ランナーは各地で歓迎されたそうです。

ナチスは政権を執って以降、ユダヤ人排斥の政策を取っていたこともありアメリカなど多くの国ボイコットの動きを見せていました。しかし、ナチスは準備期間中からこういった政策を抑えたり、選手団にユダヤ人を含めることで、これらの国々も参加を決めました。

結果的に過去最大規模のオリンピックとして開幕、開会式には10万人の観衆が待つスタジアムで最終ランナーによって聖火台に点火され、大いに盛り上がりました。
そしてその光景は世界中に報道され、ナチスドイツの存在を高めることとなったのです。

ヒトラーとその側近は、こうした宣伝や演出を使ったプロパガンダに非常に長けていました。
オリンピックはしばしば政治的な色合いの演出が行われることもありますが、ナチスはそれを最大限利用し目玉として考え出されたものが聖火リレーでした。

ベルリン大会以降、オリンピックは第二次世界大戦によって二回中止(1940年東京、1944年ロンドン)となり、1948年のロンドン大会からようやく再開されました。
この時、聖火リレーも再び行われ、現在まで続くオリンピックの一部となったのでした。

 

まとめ

聖火リレーは1937年ベルリンオリンピックから始まりました。

当時のドイツはヒトラー率いるナチスが政権を握っており、聖火リレーはナチスドイツの優位性を示す政治的な意味合いを持って考えられました。ラジオ報道なども利用され、当時の人々は聖火リレーに熱狂したようです。

これ以降、聖火リレーがオリンピック文化の一つとなったという意外な由来だったんですね。

以上、「オリンピックの聖火リレーはヒトラーのナチスドイツが始まりだった!その理由とは?」でした。

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